いわき弁護士便り

弁護士のミッション(使命)という道標~玉成会の司法試験合格者祝賀会にて考えさせられました~

2016年11月25日

 今回は珍しく取り留めのない話です。けっこう考えさせられることがありましたので、自分への戒めという意味も込めてダラダラと書き綴ります。

 少し前の話ですが、先週の金曜日(11月18日)に、大学時代に所属していた研究団体(中央大学玉成会)の新司法試験合格者祝賀会が東京で開かれましたので、私もOBとして参加してきました。

 玉成会というのは、中央大学に古くからある司法試験受験団体でして、私は大学2年生から入室して司法試験の受験指導等をしてもらいました。大学時代の辛く苦しい思い出の大半を提供してくれる、思い出深い団体です(笑)。全国津々浦々にOB・OGがおり、福島県弁護士会にも数名のOB・OGがいらっしゃいます。ちなみに、私が前に務めていた事務所の所長も玉成会出身です。

 私は下っ端も下っ端ですので、当日は端のほうにちょこんと座り、リクルートの意味も兼ねて合格者と軽く名刺交換でもしようかなと気楽に考えていたのですが、思いがけず、若手の先輩として合格者に対して祝辞・激励の挨拶を申し上げる機会をいただきました。

 突然のフリに動揺してしまい、大した挨拶もできなかったのですが、後輩達に伝えたいことを絞り出したところ、①弁護士としてのミッション(使命)を見つけることが大事であること、②一見すると弁護士が関与できそうにない案件も含めて、広い範囲の案件に門戸を広げておいてほしい、という2点が思い浮かんだので、それらを(だいぶたどたどしく)申し上げました。

 挨拶が終わった次の日くらいに、ふと「自分はなぜあんな話をしたのかな?」と考えてみたところ、多分こんな意識↓ があったのではないかと思います。

 インターネットを検索すればその手の記事が溢れていますが、現在の弁護士業界は、全体的には相当な苦境に立たされております。司法試験合格者を急増させたものの需要がそれに追いついておらず(というか人口減少社会なので国内紛争(内需)は全体として減少していく)、弁護士の経済状況は以前のイメージよりだいぶ低下しています。たまにニュースに流れる「後見人弁護士が管理している財産を横領した。」なんて事件は、その一端を示すものです。

 そのような苦境の中で、弁護士として、(ごく当然ですが)不正に手を染めず、プロフェッショナルとして気高く生きていくためには、自身の決断の拠り所にすることができる「ミッション(使命)」、あるいは臭い言葉ですが「美学」というものが必要になります。独立した弁護士はもちろんイソ弁(勤務弁護士)であっても、弁護士業務を遂行していく上で常に決断を求められます。自分で考え結論を出す際、迷いに迷ったときに決断の最後の拠り所にするのは、自分の経験上、弁護士としての「ミッション(使命)」だとか、「美学」だとか、「ポリシー」といった、自身の人生観や理想とする弁護士像に起因する視点になります。

 そういったものをぜひ早く見つけてほしいと無意識的に思い、①の話をしたのだと思います。この点は、自分自身が事務所を経営する弁護士になり、色々と悩ましい決断を1日に何回もしなければならなくなったからこそ、より強く意識するようになったのかもしれません。

 ②の点も、自分の経験から思うようになったことです。司法試験や司法修習で身に付けられるのは、法律実務家としての最低限の知識・論理的思考力・お作法に過ぎず、実際の社会では、大海原に生息する海洋生物のごとく、本当に多種多様な案件が存在します。一見すると弁護士がおよそ関与する余地がないような案件でも、よくよく考えてみると、「弁護士が入ったほうが円滑かつ健全に処理できる案件ではないか?まさにニッチな潜在的需要がある分野ではないか?」と思うような案件が実は少なからずあるのだなと感じることがあります。

 弁護士としてのキャリアを積んでしまえばしまうほど、どうしても、「過去に処理した案件の型にはまるかどうか」、「過去にやったことのある案件かどうか」といった制限を無意識的にかけてしまい、経験したことのない新種案件を嫌がったり避けたりする傾向が出てきてしまいます(弁護士7年目の私ですら、忙しくなってくるとその傾向が出てきてしまいます。)。

 そういった傾向は、実は、「職域がほぼ無制限といってよい弁護士業務の醍醐味」を半減させているのではないか、と最近強く思うようになってきました。

 弁護士として、それこそ、顧問先企業と海外企業との国際取引の処理や死刑求刑事件の刑事弁護といった超シビアな案件から、近所の知り合いのおじいちゃんおばあちゃんの近隣トラブルといった(下手すると牧歌的な)小規模案件まで広く関与しうるのに、活躍できる可能性のあるフィールドを自分の価値観で狭めてしまうのはもったいない、と思うようになってきました。そういった意識がどこかにあって、②の話をしたのだと思います。

 これから弁護士になる司法試験合格者は、ますます厳しくなる業界状況の中でキャリアをスタートさせることになりますが、ぜひ、以上の点を意識して、楽しく弁護士として活躍していってもらいたいですね。

 色々ネガティブなことも書きましたが、基本的に弁護士の仕事は、いつまで経っても退屈しない楽しい仕事ですので、自分も以上の点を忘れず、楽しく弁護士の仕事を続けていきたいと思います。

 だいぶ手を付けるのが遅いですが,現在は,中小企業の海外進出に関しての基本知識を勉強中です。「内需が頭打ちなら外需に頼る」というシンプルな発想ですが、これからは英語も少しはできないといけませんので、活躍できるフィールドを広げるため頑張っていきたいと思います。