いわき弁護士便り

消滅時効の基礎知識~いわきの弁護士から経営者の方へ~

2013年8月10日

今回は,主にいわきの経営者の方へ,知らないと怖い消滅時効についての基礎知識をお話させていただきます。

経済活動をしていれば誰もが,人や会社に対して債権を持つことがあります。「何月何日までに○○円を支払え」という金銭債権が典型例ですが,このような債権は,一定期間行使しないで放置しておくと,時効によって消滅してしまいます。これが消滅時効と呼ばれるものです。

民法上,債権の消滅時効期間は原則10年間とされています(民法167条)。権利を行使できる時から10年間行使しないでいると,権利は消滅してしまうということです。

「なんだ,10年もあるなら大丈夫でしょ。」とタカをくくっていると危険です。「原則」と書いたとおり,この消滅時効期間には多くの例外があります。

まず会社の場合,消滅時効期間それ自体が5年間に短縮されています(商法522条)。

また民法上も例外が多くあり,家賃の請求権は5年に短縮されています。(民169条)。商品売却時の売掛金債権や請負代金債権は,2年で時効消滅してしまいます(民173条1号)。旅館の宿泊料に至っては,1年で消滅します(民174条4号)。

ちなみに,弁護士報酬も2年で時効にかかります(民172条1項)。弁護士であればどの条文よりも先に押さえておかなければならない超重要条文ですね(笑)。

このように,消滅時効期間には様々な例外規定があるので,弁護士に相談するなり文献を調べるなりして,時効期間を正確に管理しておくことが必要です。

次に,時効には「中断」と呼ばれる制度があります。「中断」とは,特定の行為によって時効期間がリセットされ,0から改めて数え直される制度のことです。

民法上の中断事由は,①請求,②差押え,仮差押え又は仮処分,③承認の3つです(民147条)。

②はあまり問題になることがないので,ここでは,①と③について説明します。

まず「①請求」とは,債権者が債務者に対してお金を返せと請求することです。ここで注意してもらいたいのは,中断が確定的に生じるのは,裁判上の請求(訴訟提起,調停申立て等)に限定されるという点です。

よく相談でお聞きするのは,「請求書を定期的に送ってるから時効にはかからないでしょ」と言われる経営者の方がいますが,これは不正確です。請求書を送っただけでは時効は確定的には中断しません。裁判外での請求は,民法上は「催告」に当たり,その後6か月以内に,訴訟提起,調停申立て等の手段を取らない限り,中断の効力は生じないのです(民153条)。

「③承認」は,反対に,債務者が債権者に対し,「その債務を負担してますよ」と認めることです。支払の猶予をお願いすることや,債務の一部を弁済することや利息を支払うことも,承認に当たります。

弁済行為等がない場合,債務者が債務の存在を承認した事実を立証するのは簡単ではありません。債務者が債務の存在を認めているようであれば,債務承認書といった文書を速やかに作成し,署名押印をしてもらって,証拠を保全しておくべきでしょう。

債権の時効管理は,企業法務における基本的かつ重要事項です。これを読んでドキリとされたいわきの経営者の皆様,ぜひ一度,磐城総合法律事務所にご相談ください。