いわき弁護士便り

相続の基本知識・相続人の確定方法~相続・遺産分割・遺留分ならいわきの弁護士・磐城総合法律事務所~

2013年10月27日

久しぶりのブログ更新となります。

おかげさまで多くのご相談者の方からお問い合わせを受け,なかなかブログを書けませんでしたが,今回から何回かに渡り,相続・遺産分割をテーマに連載をさせていただきます。

いわきで開業して早8か月が過ぎましたが,相続・遺産分割のご相談がとても多いので,テーマを絞って連載させていただきます。

今回は,相続問題の基本である相続人の確定の方法についてご説明します。

日本の民法は,相続人の範囲・順位について以下のとおり定めています。なお,当事務所HPの該当ページもご参照ください→http://iwakilaw.jp/souzoku/knowledge/

①配偶者(夫,妻)がいる場合,配偶者は常に相続人となります。すでに離婚している場合は相続人にはなりません。

②また,(ア)被相続人に子供がいれば,子供達も相続人になります。前の配偶者との間の子供も当然に相続人になりますし,養子にした子も相続人になります。(イ)被相続人に子供がいない場合には,被相続人の直系尊属(両親)が相続人になります。(ウ)さらに,直系尊属もいない場合には,被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。異母兄弟や異父兄弟も相続人になります。(ただし,異母兄弟や異父兄弟の相続分は少なく定められています。この点は後日説明します。)

以上が相続人の範囲ですが,この相続人の調査をどうやるか,ご存知でしょうか?

結論から言いますと,「被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍」を取って調査します。具体的には,①現在の戸籍と,②改製原戸籍,さらには必要に応じ③除籍謄本を取って相続人がだれかを調べるのです。

さて,改製原戸籍(「かいせいはらこせき」,あるいは「かいせいげんこせき」と読みます。どっちでもいいんですが,私は「かいせいはらこせき」と呼んでいます。)という耳慣れない言葉が出てきましたが,これが何なのかご説明します。

改製原戸籍とは,法律改正に伴い戸籍を新しく作り替えることとなった場合に,その元になった戸籍のことを指します。

日本の戸籍というのは過去に数回作り替えられていて,例えば戸主制度から筆頭者制度に変わった時や,手書きの縦書き表示から電子情報化して横書き表示に変わった時等に,それぞれ作り替えられています。直近の改製はH6法改正によるもので,これは電子情報化して横書き記載に変わったので作り替えられました。

さて,では何故その改製原戸籍(作り替える元になった戸籍)を取る必要があるかというと,改製をする際,作り替える時点で除籍(抹消)されていた人は,新しい戸籍には反映されなかったためです。

言葉で説明するより見たほうが早いので,下の「現在の戸籍(見本)」をクリックしてみてください。

現在の戸籍(見本)

この戸籍を見ると,山田太郎さんの長女として桜子さんが記載されているだけなので,太郎さんの相続人は桜子さん1人だけのように見えます。

しかし,山田太郎さんの改製原戸籍を取ると,ほかにも相続人がいることが分かります。下の「改製原戸籍(見本)」をクリックしてみてください。

改製原戸籍(見本)

ご覧になっていただければ分かると思いますが,改製原戸籍を見ると,山田太郎さんの長男として一郎さんがおり,一郎さんは平成20年6月5日に佐藤愛子さんと結婚して,千葉県我孫子市に新たな戸籍を作ったことが分かります。

したがって,次にこの千葉県我孫子市にある一郎さんの新戸籍を取り,一郎さんが生きているのか死んでいるのか,死んでいるとしたら子どもはいるのか,等をさらに調査し,相続人を確定しなければなりません。

一郎さんは,改製前に結婚をして山田太郎さんの戸籍から外れていたため(改製原戸籍の一郎さんの名前のところに×印がつけられていますが,これが抹消された印になります),現在の戸籍には一郎さんが反映されていないのです。なので,現在の戸籍を取っただけでは,一郎さんの存在が明らかにならないということになります。

このように,改製原戸籍を取らないと相続人が他にいる可能性が出てしまうため,相続人調査の際には必ず改製原戸籍まで取る必要があります。

相続人の確定をする場合,必ず改製原戸籍まで取ることを是非覚えておいてください。

いわきでのこれまでの相続相談に多いものの1つとして,「不動産の登記が祖父又は曾祖父名義のままなのだが,登記を移すにはどうしたらよいか?」というご相談があります。この種の相談で大変なのが正に相続人の調査業務であり,数十通から多いときは100通以上の戸籍を取得しなければならないときもあります。

相続登記を放置している不動産がないかよく注意していただき,心当たりがある場合,早めに弁護士,司法書士などの専門家にご相談ください。