いわき弁護士便り

相続の基本知識3・遺言書がある場合~相続・遺産分割・遺留分ならいわきの弁護士・磐城総合法律事務所~

2014年1月20日

だいぶ間が空いてしまいましたが,相続の基本知識を紹介するシリーズ第3弾として,今回は遺言書がある場合について簡単に説明させていただきます。

遺言書とは,被相続人が生前に遺産の相続や処分方法についてあらかじめ意思表示をしておき,被相続人の死後にその効力が発生するものです。

なお,民法上は,15歳に達した者であれば遺言ができるとされています。また成年被後見人が行った遺言も有効であり,原則として取り消したりすることはできません。

この遺言書で実際によく見かけるものは,①自筆証書遺言と,②公正証書遺言の2種類があります。①自筆証書遺言の場合,裁判所に「検認」という手続を申請する必要がありますが,今回は説明を省略します。詳しくお知りになりたい方は,当事務所HPの該当箇所をご覧ください。→ http://iwakilaw.jp/souzoku/knowledge/ ※真ん中やや下に説明があります。

1 「相続させる」旨の遺言について

実務上最も問題となる遺言として,特定の遺産又は遺産全部を「相続させる」旨の遺言があります。

この「相続させる」旨の遺言書は実務上多く利用されているのですが,その理由として,①不動産の所有権移転登記の際の登録免許税が安く済む,②登記申請を相続人単独で申請できる,等のメリットが挙げられます。

この「相続させる」旨の遺言が民法上どのような効力を持つのか?という点については古くから争いになってきましたが,最高裁は,「相続させる」旨の遺言を,①原則として遺産分割方法の指定としつつ,②特段の事情のない限り,遺言の対象となった遺産は被相続人の死亡時直ちに相続により承継される(所有権が移転する)と判示しました(最高裁第二小法廷判決平成3年4月19日)。

したがって,遺言の対象となった遺産については,遺産分割協議が成立していなくても特定の相続人に所有権が移転したことになります。そのため,不動産については,遺言書を提出すれば相続人単独で移転登記をすることが認められています。

なお,この理屈でいくと,銀行預金が対象になっていた場合,相続人単独で金融機関から払い戻しを行うことが可能なはずですが,実務上は,金融機関によって対応がまちまちのようです。

金融機関が問題なく払い戻しに応じるであろうケースとしては,①公正証書遺言である場合で,②遺言執行者がいない,または遺言執行者として当該相続人が指定されている,③相続人間に紛議が生じていないか,紛議が生じていることを金融機関が把握していない,④遺留分減殺請求などの問題も生じていない,という場合に限定されるという有識者の意見があります。

したがいまして,遺言で指名された相続人の立場からすれば,早急に払戻手続を取ったほうがよいでしょうし,逆にその他の相続人の立場(遺留分減殺請求を主張したい立場等)からすれば,早急に金融機関に対し,相続について紛議が生じていること又は遺留分の問題があること等を伝え,単独申請による払戻しに応じないよう要請しておく必要があるでしょう。

2 遺言と異なる遺産分割も可能

遺言がある場合でも,遺言執行者が指定されていなければ法定相続人全員の合意をもって遺言と異なる遺産分割をすることが可能と解されています。

遺言執行者が指定されている場合は,民法上,法定相続人は相続財産に対する管理処分権を失ってしまいますので,相続財産をどう分けるかという点につき何らの決定権限を持たないことになります。したがって,この場合に相続人全員の合意で遺産分割をしてもその合意は無効になります。

 

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