中小企業法律相談

債権回収

回収率や回収金額を引き上げるポイントをご説明します。

債権回収に弁護士が関与することの重要性

日々の取引の中で,取引相手が売掛金を支払ってくれない,あるいは貸付金の返済をしてくれないということは少なからず発生します。
この場合に債権回収を行う必要がありますが,法的な手続を遵守しつつも,迅速に相手の財産を把握して法的手段を講じていかなければなりません。
現在の法律は自力救済を禁止していますから,法的な根拠もなく相手の財産から回収を図ることは認められません(最悪,刑事罰が科されます。)。
法的手続を遵守しつつ迅速に財産を押さえる必要があり,そのためには,弁護士が関与することが必要不可欠です。

債権回収を楽に行うために平常時から注意すべきポイント

平常時から,債権回収の場合を想定して取引を行っておくと,実際に債権回収を行うときの負担,あるいは回収不可能のリスクを大幅に減らしておくことが可能です。代表的なポイントをいくつかご紹介します。

1.相手の資産状況をよく把握しておく

将来的に差し押さえる可能性のある財産について,あらかじめ確認しておきます。
付き合いの長い相手ではなかなか聞きにくい場合もあるでしょうから,取引の当初の段階で,貸借対照表や決算書(勘定科目が確認できるもの)のコピーを提供してもらったり、預金口座の支店名などを聞いておいたりしておく必要があります。
ホームページがある相手であれば,ホームページもチェックしておきます。
また,会社の資産状況は変化するので、契約の更新時や年度が変わる場合などに,改めて資産状況が分かる資料を提供してもらうべきでしょう。

2.物的担保や連帯保証人を付けてもらうよう努力する。

支払が滞ったときの担保として最も有効なのは抵当権ですので,これをつけてもらえれば理想的ですが,実際に抵当権を付けてもらえるケースはそう多くないと思います。
その場合でも,代表者の連帯保証はもちろんのこと,親族など第三者にも連帯保証してもらうよう努力します。
中小企業の場合,会社の資産状況が悪化すれば代表者の資産状況も悪化してしまうことが大半だからです。

3.消滅時効が完成しないよう注意する。

金銭を請求できる権利には必ず消滅時効があります。
会社の場合,原則として5年で消滅時効にかかります。
したがいまして,消滅時効が完成しないよう,法律が定める時効の中断手続を行う必要があります。
民法が定める時効の中断事由は,①請求,②差押え,仮差押え又は仮処分,③承認の3つになります。
③承認は,債務者のほうが債務の存在を認めることを言います。
よく誤解されているものとして注意すべきなのは,請求書だけ送っていれば時効は中断すると勘違いされていることです。
時効中断事由としての「①請求」は,訴訟提起などの裁判上での請求に限られます。裁判外で請求書を送っても,それは6か月間だけ時効完成を遅らせるという一時的な効果しかありません。
6か月が経過すれば,消滅時効は完成してしまいます。この点は特に注意が必要です。

債権回収の手段

支払が滞った場合,法的手続を含めて債権回収を図る必要がありますが,主な手段は以下のとおりです。

1.配達証明付きの内容証明郵便による請求

裁判外で支払を請求する典型的な手段になります。
配達証明と内容証明によるのは,「いつ」,「どのような内容の請求をしたか」を証拠上明らかにしておくためです。
「反応がない場合は法的手続をとる」という記載をすることが一般的で,相手方としても真剣に対応する必要がありますので,内容証明を送ったら支払ってくるというケースも少なからずあります。
なお,この手段では,消滅時効は6か月間しか停止しません。

2.弁護士による交渉

弁護士が窓口となり,弁済について交渉します。
長年の取引相手のため法的手続をすることなく穏当に解決したいという場合や,支払う意思があり支払スケジュールだけが問題になっている場合などは,まず交渉を優先させることになります。
ただし,この場合,相手方による財産隠しや財産処分のリスクを排除できません。
交渉がまとまった場合は,必ず公正証書で和解書を作成します。
一定の条件を満たす公正証書であれば,判決を取らなくても強制執行を行うことが可能であり,裁判費用を大幅にカットできます。

3.仮差押え

相手方の財産を把握しているが,債権回収に動いていることが相手方に伝われば相手方が財産を処分する危険があるという場合に,その財産を保全する手続になります。
こちら側の資料に基づき,相手方に秘密のうちに迅速に保全をなすことができます。
財産が把握できている場合には,積極的に行うべきでしょう。

4.裁判(民事訴訟)の提起

裁判所に対して判決を求める手続になります。
裁判所から判決をもらい,その判決を根拠に強制執行をかけるというのが基本になりますが,裁判の途中で和解に至るケースもあります。
交渉ではらちが明かない場合や,消滅時効を中断させる必要がある場合などは,訴訟で解決を図ることになります。

5.強制執行

相手方の財産をこちらで調査し,見つかった財産に対して差押えをしていく手続になります。
強制執行を行うためには,債務名義という書面が必要になります。
典型的なものは,判決文,和解調書,調停調書,一定の条項が入った公正証書などです。

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