2020年5月1日

新型コロナウイルス・緊急事態宣言拡大に伴う建設工事の対応について

【建設業関係者向けの情報となります】

国交省から,緊急事態宣言が全国に拡大されたことに伴う建設工事の対応についてまとめられた通知が出されております。

緊急事態宣言を踏まえた建設工事等の対応(概要)2020.5.4時点

緊急事態宣言が全国に拡大されたことで,住宅建築業者など建設業関係者も対応に苦慮されていることと存じます。

典型的な対応としては,①請負契約書の不可抗力条項を用いて工期延長で対応したり,②国交省が示した「完了検査の円滑な実施」を活用し,軽微な変更に該当するとして完了検査を実施したりするといった対応をされているかと思いますが,そのほかにも,下請への様々な配慮(建設業法違反とならないよう配慮,資金繰り配慮など)もする必要があります。

例えば,住宅設備の一部(キッチンその他水回り設備)が仕入れられず設置できないというケースですと,上記②を活用して行政に完了検査を実施してもらい,事実上一部未完成の状態で物件を引き渡し,残金の支払は別途合意書を取り交わすという方法があり得ます。

ただ,その場合ですと,50万円とか100万円とかごく一部の残金のみが未払になるケースが多いと思われます。全て完成後に問題なく支払っていただければよいですが,仮に未完成状態が長引いてしまうと,完成後にご注文者様が支払を渋られる可能性も否定できません。そうすると,請負人側において債権回収のために一定のコストを割かなければならないという事態も生じ得ます。

そこで,全くの私見ですが,例えば,①事実上一部未完成ではあるものの,完了検査は経たということで請負代金は全額支払っていただき,②その代わり,引渡し後に注文者様に生じた損害(水回りが利用できないため銭湯,コインランドリー等を利用せざるを得なかった等)については,一定額を上限に請負人側で補償するという合意書を取り交わす,という対応もあり得ると存じます。

②については,本来は,不可抗力によって生じた損害であり請負人に賠償義務はないはずのものですが,アフターフォローとして,上限額を定めて例外的に請負人が負担するとするものです。このような形で自身が逆に債務者に回ることで,債権回収のためのコスト発生という事態を避けられますし,上限額設定や補償範囲等の合意内容を柔軟に調整することで,ご注文者様の満足度も挙げられるのではないかと思います。

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