いわき弁護士便り

相続法改正の概要

2018年11月29日

だいぶ久しぶりのブログ更新となりました。いわき市の皆様に、今回は相続法の改正についてご説明させていただきます。

2020年4月から施行される民法改正(債権法改正)に色々と注目が集まっていますが,実は相続法も最近改正されまして,2019年7月から新たな相続法のルールが順次施行されます。

なお,相続法という法律はなく,民法の中の相続に関する条文の改正になります。

今回の相続法改正の詳細は,法務省のHPをご確認いただければと思います。また,相続法改正の概要は,法務省作成のPDFをご確認ください。

こちらの相続法改正もなかなか大きな改正になっており,主要な改正点を挙げると以下のとおりになります。

 

1.「配偶者の居住権」の新設(新民法1028条~1041条)

相続開始時に配偶者が被相続人名義の建物(遺産に属する建物)に居住していた場合,一定の期間で配偶者の居住権を認める制度が新たに設けられました。

遺産分割等が終了するまでの間の居住を認める「配偶者短期居住権」(新民法1028条~1036条)と,②遺産分割等の終了後に終身又は一定期間の居住を認める「配偶者居住権」(新民法1037条~1041条)の2種類が新設されました。

 

2.「遺産分割前の払戻」制度の新設(新民法909条の2等)

預貯金口座につき,遺産分割未了の場合であっても,生活費,葬儀費用,相続債務の弁済等の事情に対応できるよう,一定の要件の下で払戻しができるようになりました。

金額の上限はあるものの,家庭裁判所の判断や他の相続人の同意がなくとも,相続人1名の単独での払戻しも可能となりました。

 

3.遺留分制度の大幅な見直し(新民法1042条~1049条)

遺留分減殺請求権を,遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求権に構成し直す等(※),法的性質から抜本的に見直しが行われました。一般市民の感覚に近い金銭請求権に見直されたと言ってよいと思います。

(※)以前は物権的効力説という考え方が採用されており,例えば,「遺贈された不動産が10件あり,遺留分4分の1の相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合,10件の不動産全てにつき4分の1ずつ共有持分権を取得する。」という解釈でした。そのため訴訟をすると,「10件の不動産につきそれぞれ4分の1の共有持分の移転登記をせよ。」という請求内容で組み立てないといけませんでした。

 

4.「特別の寄与」制度の新設(新民法1050条等)

相続人以外の親族(相続権のない親族)無償で被相続人の療養看護や介護を行った場合,その親族の貢献を保護するため,「特別の寄与」制度が新たに設けられました。

一定の要件の下で,療養看護等を行った親族が,法定相続人に対し,寄与に応じた額の金銭を請求することが可能となりました。

 

これまた,私が司法試験を受験した当時の法制度とはだいぶ内容が変更されております。いわき市の皆様に良質なリーガル・サービスを提供できるよう,改正相続法についても入念に勉強したいと思います。