既にご存知の方も多いと思われますが、2024年11月1日からフリーランス保護のための新法(フリーランス取引適正化法。以下「フリーランス法」)が施行されます。
今回は「フリーランス取引適正化法」の概要についてご説明いたします。
【今回の項目】
1.フリーランス法の適用対象
2.発注事業者に課される義務
3.フリーランストラブル110番
4.参考ウェブサイト等
- フリーランス法の適用対象
・「発注事業者」から「フリーランス」への「業務委託」が適用対象となります。
■「発注事業者」
・フリーランスに業務委託をする発注事業者が広く含まれます。
・従業員を使用していない発注事業者であっても適用対象になりますが、この 場合はフリーランス法上の「業務委託事業者」に該当し、課される義務が相当限定されます。
・反対に、従業員を使用している発注事業者はフリーランス法上の「特定業務委託事業者」に該当し、課される義務が広くなります。
■「フリーランス」
従業員を使用していない事業者に限られます。
フリーランス法上、「従業員を使用」しているとは、①週労働20時間以上、かつ、②31日以上の雇用が見込まれる者を使用していることを指すとされていますので、①・②の要件を満たす従業員を1名でも雇っているフリーランスは、本法律の適用対象から外れます。
※弁護士はじめ士業事務所は多くの場合、事務員を雇用しておりますので、残念ながら本法律の適用対象外となることが大半と思われます。
■「業務委託」
フリーランス法上、「事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託すること」と定義されておりますので、業務委託はもちろん請負も含まれます。
- 発注事業者に課される義務
・下請法と同様のコンセプト・同じような内容の義務が課されます。
・厚労省作成の概要資料の2ページ目が非常に分かりやすくまとめられておりますので、ぜひご確認ください。
・以下の3パターンのように義務が課されます。
⑴ 従業員を使用しない発注事業者
→①書面等による取引条件の明示が求められる。
⑵ 従業員を使用する発注事業者
→①に加え、
②報酬支払期日の設定(物品等の受領日から60日以内の支払義務)、
④募集情報の的確表示(広告等に虚偽の表示や誤解を与える表示をしない等の義務)、
⑥ハラスメント対策に係る体制整備(ハラスメント防止の方針明確化、周知、相談体制の整備、ハラスメント事案への適切な対応体制の整備義務)
が求められる。
⑶ 従業員を使用し、かつ、1か月(又は6か月)以上継続する業務委託の発注事業者
→①、②、④、⑥に加え、
③7つの禁止行為(受領拒否の禁止、報酬減額の禁止、返品の禁止、買いたたきの禁止、指定物品の購入等の強制の禁止、不当な経済的利益の提供要請の禁止、不当な給付内容の変更・やり直しの禁止)、
⑤育児介護等と業務の両立への配慮(6か月以上の業務委託に限る。フリーランスの申し出に応じ、納期変更やオンラインでの役務提供許諾など、育児介護等と両立できるよう合理的配慮をする)が求められる。
⑷ 罰則等
・違反があった場合、公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣が特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができます。下請法、独禁法と同じような建付けになります。
・命令違反及び検査拒否等に対しては、50万円以下の罰金(法人につき両罰規定あり)という罰則も規定されておりますのでご注意ください。
3.フリーランストラブル110番
第二東京弁護士会(二弁)が厚労省からの受託業務として、フリーランストラブル110番(外部サイト)という事業を行っています。
相談事業のほか、裁判外での紛争解決手続(ADR)として和解あっせん事業(ADR事業)も行っております。もし二弁から連絡があった場合は、新手の詐欺などと思わずすぐにご相談ください。
4.参考ウェブサイト等
以下のサイトや資料がよくまとまっておりますので適宜ご参照ください。
●公正取引委員会フリーランス法特設サイト | 公正取引委員会 (jftc.go.jp)(外部サイト)
●フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)(外部サイト)
地元いわき出身の弁護士として,「いわき市の発展のために尽力しておられる地元企業・地元法人の力になる!」という使命を掲げて活動しておりますので,ぜひお気軽にお問い合わせください。
また,相続・交通事故といった個人事件にも幅広く対応しております。
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磐城総合法律事務所 代表弁護士:新妻弘道