過払い金請求とは
過払い金請求とは、利息制限法に定められた利率に従い引き直し計算をした結果、利息を払い過ぎていたことが判明した場合に、この払い過ぎた利息を返すよう貸金業者に請求していく手続をいいます。
法律の規定よりも多く利息を取っているため、その分の利息を返せと請求していくものになります。
引き直し計算とは
利息制限法は、以下のような制限利率(利率の上限)を定めており、この上限を超える利率の定めは無効としています。
1元本が10万円未満→年20%
2元本が10万円以上100万円未満→年18%
3元本が100万円以上→年15%
これに対し、これまでの多くの消費者金融の利率は、利息制限法の上限を大きく超えるものでした。
そのため債務者は、債権者に対して、法律で適法に取れる以上の利息を今まで支払っていたことになります。
そこで、今までの取引経過を改めて検討し、「利息制限法で定められたとおりの利息を支払ったと仮定したら、借金はどうなっていたのか?」を計算し直すのです。
これが「引き直し計算」と呼ばれるものです。
具体的には、利息制限法の利率を超える部分の利息については、本来、利息として取ることができないものだったわけですから、この超えた利息の部分は、実は元本の返済に充てられていたという形で計算し直すのです。
そうすると当然、元本への返済額がどんどん増えていくことになり、結果として残元本がどんどん減っていくことになります。
これがさらに進んでいくと、過去のある時点で、実は元本も完済していたという状態が生まれます。
そして、それ以降の返済は、利息の返済にも元本の返済にも当たらない部分、つまり過払い(払い過ぎている状態)になります。
この払い過ぎの部分を返せというのが、過払い金請求の内容なのです。
過払い金が発生する目安は
1回当たりの返済額や借入れの頻度にも左右されるので一概には言えませんが、おおむね、20%以上の利息で7,8年ほど返済を続けていれば、過払い金が発生している可能性があります。
当然、すでに完済扱いになっている方は、利息を払い過ぎているのは明らかですから過払い金が発生しています。
詳しくは、弁護士に引き直し計算をしてもらい、確認してもらう必要があります。
なお、過払い金返還に関して消費者金融に不利な最高裁判例が相次いだため、平成19年4月以降、消費者金融側も、初めから利息制限法の利率内で貸付けを行うケースが増えました。
そのため、平成19年までの時点で7,8年返済していたという場合でないと、過払い金が発生する可能性は低いと思われます。
過払い金請求権の消滅時効とは
過払い金請求権は、上に述べたとおり、利息の返済にも元本の返済にも当たらない部分を返せという請求になります。
これは民法上、不当利得返還請求といわれます。
法律上の根拠がない利益なので、法律上の根拠がない以上は返せと言えるのです。
そして、この不当利得返還請求は、民法上、権利を行使できる時から10年が経過すると時効消滅するとされています。
したがって、過払い金請求権も、権利を行使できる時から10年経過すると時効消滅してしまいます。
では、過払い金請求権を行使できる時とはいつの時点をいうのでしょうか?
これについて最高裁は、「継続的取引が終了した時点」から権利行使可能になったと判示しました。
つまり、最終の取引が終了したときから10年が経過すれば、過払い金請求権は時効消滅してしまうのです。
せっかくの過払い金請求権が時効消滅してしまっては泣くに泣けませんので、心当たり上がる方は、すぐに専門家にご相談ください。