2013年11月19日

相続の基本知識2・相続財産の調査~相続・遺産分割・遺留分ならいわきの弁護士・磐城総合法律事務所~

相続について、本日は相続財産の範囲・相続財産の調査方法などをご紹介します。

【相続財産の範囲】

相続が開始した場合に調査すべき相続財産として典型的ものは、①土地建物といった不動産、②銀行口座などの預貯金、③自動車、農機具などの動産類、といったところです。

会社経営者の方の相続の場合、④会社の株券などの有価証券類も調査する必要があります。いわき市に比較的多いものというと、農協などへの出資金も相続財産になりますので注意が必要です。

よく相談で聞かれるものは生命保険金ですが、これはいくつかケースを分けて考える必要があります。

1.保険契約者と被保険者が被相続人、保険金受取人が法定相続人となっている場合

→生命保険金は、受取人である法定相続人の固有財産ですので、相続財産にはなりません。(※なお、民法と税法で理解が異なり、税法上はこのケースでもみなし相続財産として課税対象になることが多いので注意が必要です。)

2.保険契約者と被保険者が第三者、保険金受取人が被相続人となっている場合

→生命保険金(正確には保険金を請求できる権利)は、受取人である被相続人の財産であり、相続財産となります。

【相続財産の調査方法】

不動産を調査する場合、登記を調べる前に、市町村から郵送される固定資産税課税通知書、市町村から取得する固定資産評価証明書又は名寄帳を調べ、被相続人の所有不動産を一覧で確認できるようにしておきます。

名寄帳というのは聞きなれないかもしれませんが、簡単に言えば、固定資産税納税者が所有している不動産の一覧表です。市町村ごとに発行されますので、該当する市町村に問い合わせて取得します。また、単独所有の不動産と共有の不動産とで分けて名寄帳が作成されているケースもありますので、必ず単独所有分共有分をどちらも取得する必要があります。

預金の調査方法は確立されていて、各金融機関に対し、取引履歴開示請求を行います。法定相続人であれば単独で開示請求が可能です。書式は各金融機関ごとに決まっておりますので、窓口に問い合わせてください。被相続人の死亡の記載のある戸籍、自己が相続人であることが分かる戸籍など必要書類を揃えて請求をかけます。「いつからいつまでの取引を開示してほしいか」を記載する必要がありますが、通常は取引開始時までは必要なく、せいぜい亡くなる3年前から取得すれば十分でしょう。

いわきに限らず全国的に今後相続案件が増加していくはずです。前回書いた「相続人の確定」と、今回の「相続財産の確定」は、相続の相談を受けるにあたっての大前提になりますので、速やかに調査していただきたいと思います。

この記事を書いた人
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