取引先の経営悪化などによって取引先に対する売掛金が回収できなくなった場合,最終的にその売掛金を「貸倒損失」として損金に算入することが認められています。
※債権回収の一般的知識については,こちらをご覧ください。
しかし,貸倒損失として損金算入できるケースは限定されており,国税庁のホームページでは,貸倒損失として損金処理できる場合として3パターン挙げられています。
国税庁のページは,こちら。
※なお,連帯保証人がついている場合の貸倒の判断は,こちら。
そのうちの1つとして,以下のケースが挙げられています。
「2 金銭債権の全額が回収不能となった場合
債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合。ただし担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできない。なお、保証債務は現実に履行した後でなければ貸倒れの対象とすることはできない。」
このケースに関連する裁判例として,最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決があります。
最高裁平成16年月24日判決は,金銭債権の貸倒損失を損金算入するためには,
① 当該金銭債権の全額が回収不能であることを要する。
② 全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に必要な労力,債権額と取立費用との比較考量,債権回収を強行することによって生ずる他の債権者との軋轢等による経営的損失等といった債権者側の事情,経済的環境等も踏まえ,社会通念に従って総合的に判断されるべきである。
という基準を定立しました。
全額回収不能かどうかを判断するに当たり,①債務者側の事情だけでなく,②債権者側の事情,さらには③経済的環境等をも考慮するという判断をした点が重要な意義を有すると言われています。
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磐城総合法律事務所 代表弁護士:新妻弘道