2020年2月24日

住宅請負契約に関する民法改正セミナーで講師を担当させていただきました

とあるご縁から,住宅請負契約に関する民法改正セミナーの講師を担当させていただきました。

※詳しい内容についてはセミナーのDMをご覧いただければ幸いです。

セミナー第2部の講師を担当させていただきました。

2月7日と2月20日の2日間で講師を担当させていただき,①請負契約に関する民法改正の内容と今後の実務上の問題点,②住宅会社(ビルダー,工務店)が取るべき実務上の対応について,1時間程度,話をさせていただきました。

民法改正の概要と実務上の対策について説明させていただきました。

請負契約に関する民法改正の中で,請負人側から見て非常に重大な改正は,やはり契約不適合責任になります。

改正民法においては,売買に関する契約不適合責任が請負契約にも準用されるという形が採られ,請負契約独自の契約不適合責任の条文は大半が削除されました。

今後の実務上の問題として,

①損害賠償請求をする場合の根拠条文は415条1項なのか2項なのか?(損害賠償請求が認められるための具体的要件は何か?),

②特に建物完成後の場合で,契約解除が認められる範囲はどの程度なのか?(解除が認められない債務不履行が「軽微」であるとの判断は,請負契約の場面ではどのようになされるのか?),

③仕事完成後の割合的報酬請求は認められるのか?(前提として,そもそも仕事の「完成」の定義とは何か?「予定された工程の一応の完了」という従前の説が維持されるのか,「契約内容に適合した目的物の製造」等の新たな定義とするのか?),

といった法的論点が出てくることが予想されており,このような法的論点の発生も考慮して契約約款を改訂しておく必要があります。

 

また,住宅請負契約の場合,大半が消費者契約に該当することから,「消費者契約法で約款が無効とならないか?」という視点も重要になります。あまりに請負人に有利な約款は,消費者契約法で無効とされてしまう危険がありますし,そもそも消費者からの信用・信頼を失い企業ブランドを損なうリスクもあります。

 

2020年4月以降の請負契約には改正民法が適用されるため,契約約款の改訂作業をする時間も非常に限られてきております。

本ブログをお読みの時点で改正民法への対応をまだしていないという住宅会社様は,直ちに,顧問弁護士その他専門家にご相談されることをお勧めします。セカンドオピニオンを当事務所に求めていただくことでも結構ですので,ぜひお早目にご対応ください。

この記事を書いた人
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