労務問題

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労働問題の特徴

労働問題を規制する法律には,労働基準法,労働契約法,労働組合法などの各法律があります。
ちなみに,「労働法」という名前の法律は存在しません。
これらの労働問題を扱う法律は,基本的に,「労働者の保護」という観点を主眼に置いています。
したがって,労働問題が顕在化し労働紛争が発生した場合,よほどおかしな請求でもない限り,基本的に労働者側が有利な立場に立ち,使用者側は不利な立場に置かれると考えていただく必要があります。
このように使用者側が最初から不利な立場に置かれるからこそ,使用者としては,平常時から,労働法制を意識した労務管理を徹底して行う必要がありますし,記録なども詳細につけて証拠を保存しておく必要もあるのです。

解雇

労働問題の中で最もよく問題となるものは,「解雇を行ったが法的に有効かどうか」,あるいは,「これから解雇しようと思うが,法的に問題はないか」という点です。
解雇を行うに関して知っておくべきことは多くありますが,最低でも,以下の点は必ず押さえておく必要があります。

1就業規則に定められた解雇事由に該当するかを必ずチェック!

就業規則に解雇事由を定めた場合,使用者は,原則としてその定めに反して解雇することはできません。
したがって,解雇する場合には,就業規則のどの解雇事由に該当するかをチェックする必要があります。
解雇事由を定めなくても解雇しうるとする裁判例もありますが,それは例外的な場合と考えてください。

2解雇権の濫用は許されない!

労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定しています。
これは,過去の裁判例で認められていた「解雇権濫用法理」というものを明文化したものです。
普通解雇でも懲戒解雇でも,この解雇権濫用法理による制限がかかります。

3解雇予告・予告手当が必要!

解雇を行う場合,使用者は少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
予告をしない場合には,30日分以上の予告手当を支払わなければなりません。
予告手当を支払う必要がないのは,①やむを得ない事由で事業継続が不可能になった場合,または②労働者の責めに帰すべき事由により解雇する場合で,労基署の除外認定を受ける必要があります。
懲戒解雇の場合,常に予告手当を払う必要がないと考えている方もいますが,懲戒解雇だからと言って常に「②労働者の責めに帰すべき事由により解雇する場合」に該当するわけではないので,注意が必要です。

4懲戒解雇を行うには,順にステップを踏まなければならない!

欠勤が多い、遅刻が多いという場合には、順に,譴責→減給→解雇と懲戒処分のステップを踏むことが重要です。
いきなり懲戒解雇とした場合,処分が不相当として解雇が無効になる場合があります。
順にステップを踏んだことを証拠に残すためにも,懲戒処分は必ず書面で通知します。

5整理解雇は要件が変わってくる !

整理解雇の有効性は,「①整理解雇の必要性,②整理解雇の回避努力をしたか,③解雇される者の基準・選定の合理性,④手続の合理性」の4要素を総合して判断されます。
これらの4つの要素は相関的に判断され,例えば,整理解雇の必要性を緩やかに認める場合,他の3要素については厳しく判断する,といったやり方で判断し,整理解雇の多様化に応じた柔軟な判断がなされます。

残業代請求

解雇に次いで問題が多いものに,残業代請求があります。
中小企業ではサービス残業を行わせているところも多くあると思いますが,このような残業代を請求された場合,支払う必要はないと判断されるケースはごく稀です。
あるとすれば,相手の請求の中に実際には勤務していない時間があるので,その分を除外してもらうといったところになります。
使用者側としては,少なくとも,以下の点に注意する必要があります。

1請求を放置しないこと!

実際に残業していない従業員からの請求でもない限り,残業代請求を放置すべきではありません。
残業代の請求をするにはそれなりに複雑な計算をしなければならないので,請求してくる場合,労基署や社労士,弁護士に相談して請求している場合が多いと思います。
このような場合に請求を放置すると,労働審判の申立てや行政処分がなされる危険があります。

2残業手当を別途支給しても不十分な場合があります!

特別手当として,毎月一定額の「残業手当」を支給している企業も多いでしょうが,だからと言って残業代請求に理由がないと判断するのは危険です。
裁判例では,この「残業手当」が支給されている場合であっても,その金額が残業時間に見合うものでなければならないと判断したものがあります。
残業手当が低額な場合,差額についてはなお請求される危険があります。

その他の問題

そのほかにも,パワハラ・セクハラ問題,労災問題など,労働問題は様々なバリエーションがあります。
労働問題を予防したい,労働問題を適切に解決したい場合は,ぜひ弁護士にご相談ください。

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