社外通報窓口/内部通報制度

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内部通報制度(通報窓口)整備の必要性

企業内の不祥事を早期に発見し適切な是正措置が取れるよう、内部通報制度(通報窓口)を整備しておく必要性が年々高まっています。

以下で述べますとおり、本来、内部通報制度は企業側にとって多くのメリットがあるものです。
しかし、特に中小企業を中心に、内部通報制度の整備の必要性やメリット等が十分に理解されず、むしろ「不祥事が明るみに出やすくなってしまうのではないか?」等の誤解が生じてしまっている場合すらあり、依然として普及率が低い状況にあります。
残念ながら、いわき市内の中小企業でも、内部通報制度(通報窓口)をしっかり整備しておられる企業は少ないと思われます。

内部通報制度を整備する上で、どのような仕組みや通報窓口を整備したらよいか分からないという中小企業の方も多くいらっしゃると思われます。消費者庁によって民間事業者向けガイドラインが策定されていますが、抽象的な記載も多く、企業側の制度設計の自由度が高いためにかえって迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。

このページでは、内部通報制度の意義、メリット、制度設計時のポイント等について、弁護士が解説いたします。いわき市の中小企業の皆様を中心に、内部通報制度について理解を深めていただき、ぜひ通報窓口(外部窓口)の設置をご検討いただければ幸いです。

内部通報制度とは?

内部通報制度とは、勤務先や所属先において何らかの問題(企業不正や不祥事等)が生じている場合に、役員や従業員等が、独自に設置された通報窓口(①社内窓口又は②外部窓口)に通報できる制度です。
上司への報告という通常の通報ルートとは異なり、企業が独自に設けた通報窓口に対して通報する制度になります。

企業不正や不祥事等が生じている場合、上司や経営幹部が関与している場合もあり、このような不正等を発見した場合、通常の通報ルートでは社内の自浄作用が十分に機能しないおそれがあります。

そのため、通常の通報ルートと異なる内部通報窓口を設けて通報を受け付ける体制を整備することで、企業における自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進を図ることができます。
内部通報制度は、コンプライアンス経営の一翼を担う非常に重要な制度といえます。

内部通報制度のメリット

1企業のコンプライアンス意識を高め、コンプライアンス経営の強化につながる。

2コンプライアンス経営が徹底されていることを外部にアピールすることで、取引先、顧客、従業員、債権者、就職希望者等の利害関係者(ステークホルダー)からの高い評価・信頼を獲得できる。

3社内の不正行為を早期に発見し是正することができる。

4社内不正が突然に外部(マスコミや監督官庁等)に通報されてしまうことによる風評被害・信用失墜等のリスクを軽減できる。

5社内不正を自ら公表・是正することにより、ステークホルダーの信頼失墜を最小限に抑えることができる(又は信頼回復につながる)。

6社内の通報窓口が充実していることにより、役員や従業員等による不正行為の抑止・予防につながる。

内部通報制度を作る際のポイント

企業不正や不祥事が発見された場合に躊躇なく通報できる窓口を設置し、かつ実効性を維持しながら運用していくことが肝となります。具体的ポイントは以下のとおりです。いずれも「箱は作ったが機能しない」という事態にならないための注意点です。

通報に関する秘密保護を徹底する

通報者が容易に特定されたり、通報に関連した秘密が簡単に暴露されたりするようであれば、通報を躊躇することは当然です。通報者の特定につながる情報は通報窓口担当限りで共有し、調査担当部署とは共有しない等、社内での情報共有を最小限に止めた上で、通報者を探索してはならないことを内部規程に明確に定め、かつ関係者に周知徹底させることが最低限必要となります。

安心して通報できる環境の整備

  • 匿名通報
  • 通報者への不利益取り扱いの禁止
  • 社内リニエンシー制度

公益通報者保護法でも実名での通報が必要とはされていないことや、匿名の通報が多いという実態を考慮すると、匿名通報も受理できる体制にすることが必要です。

ただし、匿名通報を認めると、詳細な事実調査が困難となる、通報者に調査結果等をフィードバックすることができない、通報者が不利益取扱いを受けていないかの確認ができないといったデメリットも生じるため、秘密保護を徹底することを説明して可能な限り氏名等を明らかにしてもらうことが望ましいでしょう。
なお、内部規程にも、「匿名の場合には調査やフィードバック等が困難になる」ことを明確に定めて周知する必要があります。

また、通報者に対して不利益な取り扱い(解雇や降格のほか事実上の嫌がらせ等も含む)がなされないよう制度を整備する必要があります。
不利益な取り扱いの禁止規定は当然として、内部規程に、不利益な取り扱いが判明した際の救済措置を明記する、通報者に不利益な取り扱いを行った者は懲戒処分を行うことを明記するといった整備が必要になります。
さらに、通報窓口の利用が活性化されるよう、自主的に違反行為の通報(申告)を行った者に対しては、懲戒処分等を減免する制度(社内リニエンシー制度)を設けることも有効です。

会社や経営幹部から独立した通報ルートを確立する。

通報ルートとして、①社内窓口と②社外窓口(外部窓口)の2種類を設置することが万全です。

社内窓口
社内窓口については、真摯に対応してくれるのか・上司に知られてしまうのではないかといった不安を通報者が抱くおそれがあるため、社外取締役や監査役への直接の通報ルートを別に設けるなど、経営幹部から独立性を有する窓口を設置する必要があります。
社外窓口(外部窓口)
通報ルートを充実させるため、社外窓口(外部窓口)として、法律事務所(弁護士)又は専門の民間会社を設置することが万全です。
中小企業の場合、コスト面で一社単独での設置が難しいことも多いと思いますので、その場合には同業の複数の事業者で共通の外部窓口を設置することも選択肢となります。

なお、外部窓口として顧問弁護士を設定することは禁止されてはいないものの、あまり望ましくないと思われます。
例えば、顧問弁護士が外部窓口として重大な社内不正の通報を受けた場合、「通報者のため中立公平に外部窓口として任務を果たすべき立場」と「顧問弁護士として会社の利益を擁護しなければならない立場」との間で、相当に厳しい利益相反が生じる危険があります。

そのため、顧問弁護士が外部窓口を兼務することはあまり望ましいことではなく、顧問弁護士以外の弁護士(法律事務所)を外部窓口として設定することが万全といえます。

従業員らへの制度の周知徹底を図る。

内部通報制度の仕組みを従業員らに十分に周知させるため、社内通達や社内電子掲示板、電子メールを用いての広報や定期的な研修の実施という方法のほか、社内にポスターを掲示する、個人面談時に制度の説明を行う、研修の中で小テストを実施し理解を深めさせるといった独自の工夫をして継続的に周知させる必要があります。

  • 内部通報制度の構築(どのような制度設計をするか)のご相談・アドバイス
  • 外部窓口業務の受託・担当
  • 構築・整備された内部通報制度の評価・改善のご提案
  • 内部通報制度に関する社内研修(経営陣向け、従業員向け)

磐城総合法律事務所にお任せください

コンプライアンス経営の重要性がますます高まっている昨今、その一翼を担う重要な制度である内部通報制度を万全に整備することは、企業の信用性を高めるためにも非常に有益です。
他社が整備に着手していないからこそ、経営陣が率先して先進的に制度整備に当たることで、業界内外において高い評価を得ることが可能となります。

なお、いわき市をはじめとする中小企業の皆様におかれましては、「そんな綺麗ごとを言われても、費用がかかるし、そんな余裕ないし…」という現実的な問題も当然おありかと存じます。

そのような場合には、例えば、同業者数社のグループで共通の外部窓口を整備する(費用は数社で分担)、同業者の組合など業界団体で1つの外部窓口を整備し、組合員や会員が利用できるようにする(費用は団体で負担)等の制度設計とすることで、企業1社当たりの負担を軽減し、コスト面の不安を解消することが可能です。制度設計の自由度が高いからこそ可能な方法となります。

磐城総合法律事務所は、いわき市の中小企業の皆様の力となるため、内部通報制度の体制整備について積極的に提案をさせていただきます。

いわき市の中小企業の皆様、ぜひお気軽に磐城総合法律事務所までお問い合わせください。

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