相談前
元役員から、未払の役員退職金のほか、自身は従業員たる地位も併有しているとして従業員退職金の支払も請求されたとして、事業者様からご相談を受けました。 交渉段階から受任し、理由を詳細に記載して請求を拒否する回答をしましたが、訴訟を提起されたため引き続き受任しました。
相談後
会社に保管されていた資料を用いて、役員就任時の選任手続,会社の経営に関与していた等の執務実態,他の従業員との給与形態の違いや出退勤管理の違い等を詳細に指摘し、関係者の尋問も行って従業員たる地位がないことを立証し、無事に請求を全額棄却する勝訴判決を得ることができました。
弁護士からのコメント
会社自体が小人数の中小企業であったこと、元役員が常勤の取締役であり事務的作業も一部行っていたことから、取締役という地位だけでなく従業員たる地位もあると主張してきた事案でした。 役員として選任された手続の記録、経営に関与していたことが分かる記録(役員会議事録等)が比較的充実して残っていたことが立証を容易にしてくれました。 他の従業員と同じような仕事をさせている上、給与明細も報酬形態も従業員と同じ役員なのに、出退勤管理のようなことがなされている(タイムカード打刻等)といった事情があると、従業員たる地位も有していると評価される危険がありますので、しっかりと事務手続や事務処理を区別しておく必要があります。