2020年7月7日

住宅性能表示について(住宅請負契約の法律相談はいわきの弁護士新妻弘道・磐城総合法律事務所まで)

令和元年度の新築住宅のうち,住宅性能評価書(ただし設計住宅性能評価書)を交付した割合が27.7%となり,過去最高を更新したとのことです(国土交通省HP参照)。

これまでは概ね2割前後の交付割合であり,住まいるダイヤルの専門家相談でも評価住宅の事例にお目にかかることは少なかったですが,徐々に住宅性能表示制度が浸透してきているようです。

住宅性能表示制度とは,住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)に定められている制度でして,第三者機関(登録住宅性能評価機関)が,日本住宅性能表示基準に従い,①設計図書の評価と②施工段階・完成段階での評価を行うものです。

①の段階で作成されるのが設計住宅性能評価書,②の段階で作成されるのが建設住宅性能評価書となります。

この住宅性能表示制度は,費用(概ね5~10万程度)も時間もそれなりにかかるものですが,主に以下の2つの大きなメリットがあります。

 

1.専門家相談や住宅紛争処理機関(住宅紛争処理審査会等)を利用することが可能!

私も委員として登録しておりますが,住まいるダイヤルの専門家相談や,住宅紛争処理審査会などの住宅紛争処理機関を利用することが可能です。

特に,専門家相談では,弁護士のほか,建築士の先生も同席して住宅紛争に関する相談を受けることが可能であり,1時間で充実した回答を受けることが可能です。

私も実際に専門家相談を担当すると,不具合原因が「契約不適合」(民法改正前における「瑕疵」)といえるかどうか判断するのが難しい場面(建築知識を踏まえないと判断できないもの)に出くわすことが少なからずありますが,その際,建築士の先生の専門知識やアドバイスから,かなり精度の高い回答と具体的なアドバイスを相談時間内にできることが多々あります。

弁護士のみの法律相談より相当に充実したアドバイスをすることが可能です。

 

2.住宅性能評価書の記載内容が契約内容になる=評価書の記載内容を基準に契約不適合を判断できる!

住宅性能評価書(写し含む)を請負契約書又は売買契約書に添付した場合,当該住宅性能評価書の記載内容が契約内容となり,契約不適合の有無も評価書の記載内容を基準に判断されることになります。

※ただし,契約書の中で,評価書の記載内容を契約内容としないことを明示した場合はこの限りではありません。

 

住宅紛争の場合,「そもそも当事者が契約した内容(完成すべき目的物の中身・内容)は何だったのか?」という点が争点になることも少なくありませんが,住宅性能評価書を添付することで,このような争点が生じることを防止することが可能となります。

 

上記のようなメリットを持つ住宅性能表示制度は,費用や時間をかけてでも取得しておくことが望ましいと言えますので,住宅を新築される場合にはぜひご検討ください。

なお,住宅性能表示制度の詳細は,こちらをご覧ください。

この記事を書いた人
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