いわき弁護士便り

離婚・不貞行為の基礎知識2・不貞相手と示談するときのポイント・注意点~離婚,不貞,慰謝料,財産分与の法律相談ならいわきの弁護士新妻弘道・磐城総合法律事務所へ~

2014年8月26日

 

暇な時間がなかなか取れず,久しぶりの更新となってしまいました。

仕事が忙しいのは嬉しいことですが,ブログの更新などがつい疎かになってしまいますね。

今回は,不貞相手と示談する場合のポイント・注意点について書きたいと思います。

不貞行為の基本知識は,こちらをご覧ください。

なお,今回のブログの前提として,不貞相手とだけ示談するケースを想定しています。不貞相手とだけ示談をするケースは比較的よくあることで,相手方配偶者とは離婚しない,または離婚協議中の場合が多いと思われます。

まだ離婚していないということは要するに夫婦の財布が一緒の状態ということですので,相手方配偶者から慰謝料を取っても家族の中でお金が循環するだけになってしまいます。そのため,不貞相手とだけ示談をするということになります。

前置きが長くなりましたが,不貞相手とだけ示談をする場合の注意点として,以下の点が挙げられます。

 

①不貞行為の時期・方法を特定する。

②不貞相手の支払能力が不足している場合でも,支払義務は満額とした上で免除するという方法を取る。

③免除条項を入れる場合,相手方配偶者には免除の効力を及ぼさないという条項を必ず入れる。

④必ず公正証書で示談する。

 

①不貞行為の時期・方法を特定する。

慰謝料の対象となった不貞行為を時期・方法でもって特定しておくことで,それ以外の不貞行為が後日に発覚した場合,改めて慰謝料請求が可能となります。

なお,この場合,清算条項(「本示談書に定める以外に債権債務はない」という条項)には,「本件不貞行為に関し」という限定をつけておく必要があります。

②支払義務は満額とした上で免除という方法を取る。

例えば,認められる慰謝料が300万円のケースで不貞相手が「100万円しか払えない」と言ってきた場合(※),支払義務自体は300万円とし,期限までに100万円をちゃんと支払ってきたら残り200万円の支払義務は免除する,という方法を取ります。

※当然ですが,預金口座・勤務先・不動産の有無などを確認して支払能力を調査すること,保証人を付けられないか等はきちんと検討します。

支払義務自体を100万円とする場合に比べて法的に有利ですし,不貞相手も,きちんと100万円を払おうという意識を持つようになります。また,依頼者としても,支払義務自体は300万円で認められたという一定の満足感を得ることができます。

③免除条項を入れる場合,相手方配偶者には免除の効力を及ぼさないという条項を必ず入れる。

判例上,被害者が,他の不法行為者(今回のケースの相手方配偶者)の債務をも免除する意思を有していると認められるときには,他の不法行為者に対しても免除の効力が及ぶとされているため,相手方配偶者から後日,「自分にも免除の効力が及んでいる」との反論を招く恐れがあります。

そのため,免除の効力を相手方配偶者には及ぼさないという条項を入れておく必要があります。文案としては,例えば,「B(不貞相手)が第〇条の支払を遅滞なく履行したときは,A(請求者)は,AはBに対し,第〇条のその余の債務の支払義務を免除する。この場合,Aは,B以外の共同不法行為者C(相手方配偶者)に対し免除の効力を及ぼさない。」と規定することが考えられます。

④必ず公正証書を作成する。

「必ず支払うから」と言って支払わないケースはざらにあります。その場合,裁判をして判決を取るという手間が生じてしまいますので,私は必ず公正証書を作るようにしています。

公正証書案を作成して事前に公証役場のチェックを経る,本人の委任状などの書類を揃える必要があるなど多少手間はかかりますが,訴訟提起に比べればだいぶ楽に作れますので,面倒くさがらずに公正証書を作ることを強くお勧めします。