いわき弁護士便り

人身傷害補償特約の基礎知識~交通事故の法律相談なら,いわきの弁護士新妻弘道・磐城総合法律事務所へ~

2016年1月23日

今回は,交通事故で人身事故被害にあった場合に便利な,人身傷害補償特約について基本知識を解説いたします。

※交通事故の場合に利用を検討すべき保険等の基本知識は,こちらをご覧ください。

 

人身傷害補償特約とは,平成10年ころに開発された保険商品であり,簡単に言うと,「自動車事故によって,被保険者等の一定範囲の人傷害(ケガ)をした場合,被保険者等の過失の有無や過失割合にかかわらず,保険契約の範囲内で損害を補償する制度」になります。

人身傷害補償特約は,自身の過失割合にかかわらず補償を受けられる点で,①自分が被害者である(事故によってケガをした)が自分の過失割合が大きい場合,②ひき逃げで加害者や加害者の自賠責保険会社が判明していない場合,③(かなり悪質ですが,)加害者が自賠責保険にさえ加入していない場合,等に有効な特約です。※詳細はこちらをご覧ください。

特約ですので,任意保険契約を締結する際に付けることを選択していなければなりませんので,まずはご自身の任意保険契約に人身傷害補償特約が付けられているかをよくご確認ください。また,保険会社ごとに特約の内容も微妙に異なりますので,特約の内容自体もよくご確認ください。

 

さて,一般的な人身傷害補償特約について,押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

1.歩行中や自転車運転中の交通事故も保険の対象となること

人身傷害補償特約で対象となるのは,自動車に乗っているときの交通事故に限られません。歩行中に車にはねられた場合とか,自転車を運転しているときに車にはねられた場合にも保険の対象となりますので,そのような交通事故の場合は,ご自身の保険についている人身傷害補償特約が使えないかをご確認ください。

2.被保険者(=保険の対象となる人)には,配偶者,同居の親族等もふくまれること

被保険者(=保険の対象となる人)は,記名被保険者(普通は契約者本人)のほか,その配偶者同居の親族,さらには別居している未婚の子供まで含まれることが一般的です。

従いまして,例えば,「子が休日に自転車で遊びに行ったところ,車でひき逃げ事故に遭い腕の骨を折る大けがをしてしまった。加害者は現在も逃走中である。」といったケースでも,両親が契約している任意保険契約の人身傷害補償特約を使って,保険金を受け取ることが可能となる場合があります。

対象となる交通事故の範囲,対象となる人の範囲が広いという点は意外と忘れがちですので,押さえておいていただければ幸いです。

3.被害者の過失割合に関係なく保険金を受領できること

被害者に過失があっても,保険金の支払に当たっては考慮されず,被害者は自身の過失部分についても保険金を受け取ることができます。この点が人身傷害補償特約の一番のメリットと言えます。その代わり,人身傷害補償特約で設定されている保険金(人身傷害補償基準額)の上限額は,裁判で認定されるであろう金額(裁判基準金額)よりも低く設定されていることが通常です。

人身傷害補償特約には以上のようなポイントがありますので,ぜひ押さえておいてください。

 

なお,人身傷害補償特約を利用できる場合に,①加害者に対する損害賠償請求訴訟(裁判)を先に起こしたほうが良いのか,それとも,②人身傷害補償特約を利用して保険金を先に受領したほうが良いのか,という点については,最高裁判例も大きな法的論点となっています。

詳細はいずれ書ければよいかなと思っておりますが,結論としては,「とりあえず人身傷害補償特約を先に使っておけば被害者としてはOK。」と覚えておいてください。